ニキビの原因と種類

にきび

ニキビは、皮膚の毛穴が皮脂や角質で詰まって炎症を起こしたものです。ニキビは思春期に多く見られますが、大人になってもできることがあります。ニキビの原因はさまざまですが、大きな3つの要因とニキビの種類を説明します。

ニキビの原因

ニキビができる主な原因は「皮脂の過剰分泌」「毛穴のつまり」「アクネ菌の増殖」の3つです。ニキビが出来たら早めの治療を行うことはもちろんのこと、ニキビを作らないように予防をすることがとても大事になるます。特に凹みなどのニキビ痕が残ってしまうと、肌を元に戻すのはとても時間がかかります。まずは、ニキビを作らないようにしっかりと原因を理解して予防に努めてください。

皮脂の過剰分泌​

皮脂は私たちの肌を保湿し、外部の刺激や乾燥から守るための油分です。皮脂が適切な量で分泌されることは、健康的な肌の維持に役立ちます。しかし、さまざまな要因で皮脂の分泌が過剰となると、これがニキビの一因となることがあります。過剰に分泌された皮脂は、肌の表面や毛穴内に溜まりやすくなります。これが、死んだ皮膚細胞や外部からの汚れと混ざり合うと、毛穴が詰まりやすくなります。詰まった毛穴は、アクネ菌の増殖の場となり、その結果、ニキビや炎症を引き起こす可能性が高まります。

ホルモンの影響​

ホルモンバランスの乱れは、思春期や生理前などによく見られます。特に男性ホルモンが増えると、皮脂腺が刺激されて皮脂の分泌が増えます。女性ホルモンが減ると、皮膚の水分保持力が低下して乾燥しやすくなります。その結果、皮脂の分泌がさらに増えるという悪循環に陥ります。​

ストレス

ストレスは、自律神経やホルモンの働きに影響を与えます。特に交感神経が優位になると、皮脂腺の活動が活発になります。また、ストレスによって免疫力が低下すると、アクネ菌が繁殖しやすくなります。​

食生活

食生活の乱れは、皮膚の健康にも大きく関わります。特に油っこいものや甘いものを過剰に摂取すると、血糖値やインスリンが急激に上昇します。これは、男性ホルモンの分泌を促進することで、皮脂の分泌を増やします。また、ビタミンやミネラルなどの栄養素が不足すると、皮膚のバリア機能が低下して刺激に弱くなります。

毛穴の詰まり

毛穴のつまりとは、皮脂や角質、汚れなどが毛穴に詰まってしまうことです。毛穴のつまりは、ニキビの原因のひとつとなります。毛穴のつまりが起こると、皮膚に炎症が起こりやすくなり、アクネ菌が繁殖しやすくなります。

肌のターンオーバーの乱れ

肌のターンオーバーとは、古い角質が剥がれ落ちて新しい細胞が生まれるサイクルのことです。正常なターンオーバーは約28日ですが、加齢やストレス、生活習慣などによって乱れると、古い角質が溜まって毛穴を塞ぎます。また、古い角質は皮脂と混ざって黒ずみや角栓を形成する原因にもなります。

皮膚の汚れ

皮脂や化粧品、ほこりなどを適切に洗顔で落とさないと毛穴の詰まりの原因となります。適切な洗顔は、皮膚の汚れを落とすだけでなく、皮脂のバランスを整える効果もあります。低刺激で皮膚のバリア機能を損なわない、pHバランスの良い製品を使用しましょう。また、洗顔の際に強くこすると肌を傷つける可能性がありますので、指の腹でやさしく洗うことを心がけてください。

皮脂の過剰分泌

皮脂は、肌を保湿したりバリア機能を果たしたりする重要な成分ですが、過剰に分泌されるとトラブルの原因になります。皮脂が多いと、毛穴の詰まりの原因となります。

アクネ菌の増殖

ニキビの原因について、よく聞かれるのがアクネ菌の増殖です。アクネ菌とは、皮膚の毛穴や皮脂腺に住む常在菌の一種で、通常は皮膚を守る役割を果たしています。しかし、皮脂の分泌が過剰になったり、毛穴が詰まったりすると、アクネ菌が繁殖しやすくなります。アクネ菌は皮脂を餌にして増えるとともに、炎症を引き起こす物質を分泌します。これがニキビの赤みや腫れの原因になります。また、アクネ菌は酸素を嫌う性質があるため、毛穴が閉じていると増殖しやすくなります。そのため、毛穴を清潔に保つことや、角質ケアをすることがニキビ予防に重要です。

ニキビの種類

ニキビは、皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まり、アクネ菌の繁殖、炎症が組み合わさって発生します。主なニキビの種類は以下の通りです。

白ニキビ

白ニキビは、毛穴が閉じた状態で皮脂や角質が詰まっているもので、小さな白いブツブツとして見えます。毛穴が皮膚で覆われているため、酸化が起こらず白っぽく見える特徴があります。主に、過剰な皮脂分泌や角質の詰まりが原因で発生します。白ニキビは、顔だけでなく背中や胸にもできることがあります。

黒ニキビ

黒ニキビは、毛穴が開いた状態で皮脂や角質が詰まっているものです。酸化した皮脂が黒く見えるため、黒ニキビと呼ばれます。黒ニキビは、特に鼻や顔のTゾーンに多く見られます。

赤ニキビ

赤ニキビは、炎症を伴うニキビで、赤みや腫れがあることが特徴です。炎症を起こす原因としては、アクネ菌の繁殖や皮膚のバリア機能の低下が挙げられます。赤ニキビでは赤く腫れた小さなしこりで、痛みを伴うものや、 中に膿が溜まった赤く腫れたニキビで、表面が白くなっているものがあります。

黄ニキビ

黄ニキビは、炎症を伴うニキビの一種で、中に膿(うみ)が溜まっていることが特徴です。膿は、白血球や細菌、死んだ細胞などが混ざり合ったもので、炎症の結果として生成されます。黄ニキビができた場合、潰さずに放置することが重要です。潰すと、感染の拡大や瘢痕(はんこん)形成が起こることがあります。

ニキビの予防

ニキビが悪化すると、炎症がひどくなって治りにくくなったりニキビ跡が残りやすくなったりしてしまいます。まずは、ニキビを作らない予防が第一となります。ニキビの予防は主な原因である「皮脂の過剰分泌」「毛穴のつまり」「アクネ菌の増殖」を防ぐことから始めましょう。

「皮脂の過剰分泌」の予防

ホルモンバランス、ストレス、食生活により皮脂の過剰分泌を防ぐには、以下のことに注意しましょう。

・洗顔は朝晩1回ずつ行い、泡立てネットや洗顔ブラシなどを使ってやさしく洗う。洗顔料は低刺激で保湿成分が含まれたものを選ぶ。
・化粧水や乳液などのスキンケアは必ず行い、肌の水分と油分のバランスを整える。乾燥肌や敏感肌の場合は、保湿力の高いものを選ぶ。
・食生活では、油っこいものや甘いもの、刺激物などを控えて、野菜や果物、発酵食品などを積極的に摂る。水分補給も忘れずに行う。
・生活習慣では、睡眠不足やストレスなどを避けて、リラックスできる時間を作る。タバコやお酒は控える。

「毛穴のつまり」の予防

皮膚の汚れを適切に落とすことや肌のターンオーバーの正常化を目指しましょう。

・洗顔後は化粧水で肌を整えた後、角質ケア用の化粧水や美容液などを使って古い角質を除去する。ピーリング剤やクレイパックなども週1回程度で使用すると効果的。
・メイク落としは丁寧に行い、メイク用品やブラシなども定期的に洗浄する。メイクは軽めにするか、毛穴レス効果のあるものを選ぶ。
・日焼け止めは必ず塗るが、SPFやPAが高すぎるものは避ける。日焼け止めもメイク落としでしっかり落とす。
・血行促進効果のあるマッサージやエクササイズなどで肌代謝を高める。

「アクネ菌の増殖」の予防

アクネ菌は皮脂が多い環境を好みますが、皮膚表面に常在する細菌です。問題なのは、アクネ菌が過剰に増殖して炎症を起こすことです。

・洗顔は清潔なタオルでやさしく拭き取り、肌をこすらない。洗顔料は殺菌作用のあるものを選ぶとよい。
・化粧水や乳液などのスキンケアは、ニキビ肌用のものを選ぶ。抗菌作用や抗炎症作用のある成分が含まれていると効果的。
・ニキビができたら、絶対に潰さない。潰すとアクネ菌が広がったり、跡が残ったりする。
・手や髪の毛などで顔に触れないようにする。手や髪の毛にもアクネ菌が付着している可能性がある。

ニキビはクリニックで治療ができますが、多くの患者さんが継続治療できないのが現状です。お薬を使用して一時的にニキビが良くなっても、お薬を使用するのを辞めると症状がぶり返す患者さんが非常に多いのが現状です。クリニックでの治療は、少なくとも3ヵ月は続けましょう。ニキビ跡を残さない為にも、継続治療を心がけましょう。そして、なによりニキビを作らないように予防から取り組んでください。